不信感

人間の居住区に侵入した熊を
駆除したというニュースを見た。

何とも言えない気持ちになる。

本来は熊の住みかだった森が
人間によって荒らされた結末なのに

人間は自分達を守るために
相手の命を当たり前のように奪う。

熊にその権利はないのか。

先日、あるところに行った。
犬は入ってはいけない聖域がある。

聖域とやらが……。

誰が決めたのか｡
なぜ犬はダメで人間はいいのか。

それを疑うことなく
さも当たり前に
看板に堂々と書いてあり

それを守っていないものには
堂々と警告してくる。

その土地の持ち主だと言えば
通ると思っているのか。

でも、その土地の権利だって
人間が勝手に決めたことだし
大昔の人が早い者勝ちか
力ずくなのか知らないが
勝手に決めたのだろうから

原点に帰れば
何の意味もないだろうに……。

そんなことを考えていると
自分が必死に守らなくては！
と思っている我が家だって
何の意味もない。

もともとなくて当たり前のもの。

生きる上で必死に守らなくては
ならないものなんて
本当はなにひとつ
ないのかもしれない。

この肉体だって。

人間世界の正義や常識と言われるものへの
不信感はますます募るばかり……。

「どうして僕たちは入れないの？」
「どうして僕たちはいつも繋がれなくてはいけないの？」
「どうして僕たちは自由にドコヘデモ行けないの？」