永遠ではないのだから。
私が車で出かけるときに、庭仕事をしている母が「気をつけて」と見送ってくれる。
毎朝玄関先まで仕事に出かける夫を、コロンと二人で、車が見えなくなるまで手を振りながら見送る。
こういう時、私はドラマの一場面を思い浮かべるのだ。
ドラマなどで「行ってきます」「行ってらっしゃい」と別れて、実はそれが最後のお別れだった……と振り返る場面だ。
あのとき、もう二度と会えないのだと知っていたら、自分はどうしたか?
そんなことを考えながら、じわっと涙が滲んでくる。
本当に涙腺の弱い私だと苦笑いしながらも、でも相手は誰にしろ、そういう時は必ずやって来るのだと覚悟しておかなくてはならない。
だから、本当に本当に……相手を大切に思いたい。
この世に永遠なんてものはないのだから。