我執
「子ほど可愛いものは存在しない」
ということばは
「子は我がものである」という錯覚と
執着によって成り立っている。
その本質はひと皮むけば
「自己ほど可愛いものはない」という
ことばとなる。
自分ですら自分の思うようにならないのに
どうして子供や財産が頼りになるであろう。
「わがもの」「われに属するもの」
という考えを捨てよ。
世間のなにものにも
わがものであると固執してはならない。
わがものという我執を捨てよ。
つまり執着を離れ
自由な広々とした境地を
体得すること。
《ブッタ伝~生涯と思想~》中村元著
の一文。
ちょうどこの文章を読んでいたときに
猫のみぃが例のごとく
帰宅を知らせてきた。
(うちのドアはボロボロ)
このタイミングでいつも
「みぃが帰ったよ~(ドアを開けてあげて)」
と(嫌みのように)言ってくる夫は
夜勤のために不在。
なのに
微かに腹がたった。
やれやれと
立ち上がって
ドアを開けながら…
冒頭の言葉が
頭に浮かび
腹が立った意味が
分かった気がした。
あの言葉に従って考えると
私の好きなこと(読書)を取りあげられ
その好きなことをするための
私の時間を取られ
私の体を動かされたからだ。
つまり
私の飼い猫のみぃが
私の家に入ってくるために
私は私の趣味や時間や肉体を
使わなければならなかったからだ。
全部、私の◯◯なのだ。
我執を捨てよ
時間も趣味も猫も家も肉体すらも
あらゆるものが
私のものではないと思ったら
さて…
私はどう感じるのだろうか?